一目均衡表とは?5つの線の見方と使い方、3大理論を解説!

2022/7/22

FXにおいて、相場状況を分析するために使われるのが「一目均衡表」です。一目均衡表は日本で考案された指標として、世界中のトレーダーの間で一般的に使われています。

しかし、これからFXを始めようとしている方にとっては、見方さえ難しく感じられるのではないでしょうか。

本記事では、一目均衡表の基本的な見方や使い方、注意点などを詳しく解説します。一目均衡表についての理解を深め、取引に活用していきましょう。

そもそもFXとは?という方はこちらをご覧ください

一目均衡表とは?

一目均衡表はさまざまな要素によって構成されています。ここでは一目均衡表とは何か、見方を含めて解説します。

一目均衡表の概要

為替の値動きをグラフ化した「チャート」を基に、過去の価格推移から将来の値動きを予測する方法を、FXでは「テクニカル分析」といいます。テクニカル分析で用いられるのが「テクニカル指標(インジケーター)」です。

一目均衡表は、1936年に株式評論家の細田悟一氏によって、テクニカル指標の一つとして考案されました。「一目山人」というペンネームを使用していたことから、一目均衡表と呼ばれるようになりました。株価を基に考案された指標であるものの、FXの為替レートに対しても用いられるようになっています。

一目均衡表は、テクニカル指標の中でも「トレンド系」に分類される指標で、「売り手と買い手のバランスが崩れたときに相場は大きく動く」という考え方に基づいています。均衡が崩れた後はその相場の方向性(トレンド)が一定期間続くのが一般的です。つまり、一目均衡表を使うことにより、相場の流れや方向性を把握しやすくなります。

【関連ページ】FXのテクニカル分析とは?代表的な6つの分析指標と注意点

一目均衡表の5つの線の見方

一目均衡表は、基準線・転換線・先行スパン1・先行スパン2・遅行線(遅行スパン)の5本の基本補助線を用いて表示させたものです。そして先行スパン1と先行スパン2の間に発生する部分を「雲」と呼びます。雲の向きや雲と価格の位置関係、各補助線の位置関係に注目することにより、さまざまなシグナルが読み取れます。

一定期間内における通貨の4つの価格(始値、終値、安値、高値)を1本のローソクの形で表現したものを「ローソク足」といいます。一定時間の値動きをまとめたローソク足が「時間足」です。たとえば1分間の値動きをまとめたものは「1分足」、1時間であれば「1時間足」と呼ばれます。一目均衡表は主に1日単位の「日足」を表示したチャートで用いられます。

基準線

過去26日間の最高値と最安値の平均(基準値)を算出し、複数の数値をつなぎ合わせて表示させた線が「基準線」です。たとえば、ドル/円の通貨ペアにおいて、当日を含む過去26日間の最高値が130円、最低値が120円のときには、125円が基準値となり、数日分の基準値をつなぎ合わせると基準線がつくられます。基準線が上向きであれば上昇が強い、下向きであれば下落が強いと判断できます。中期的なトレンドの分析に効果的です。

転換線

当日を含む過去9日間の最高値と最安値の平均を算出し、複数の数値をつなぎ合わせて表示させた線が「転換線」です。転換線が上向きであれば上昇が強い、下向きであれば下落が強いと判断できます。短期的なトレンドを分析するのに用いられるのが特徴です。

先行スパン

将来の値動きを予測するのに用いられるのが「先行スパン」です。先行スパン1は、基準線と転換線の平均値を26日先、つまりチャート上の右側に先行して表します。
先行スパン2は、過去52日間の最高値と最安値の平均値を26日先にずらして表示させた線です。

遅行スパン

一目均衡表の中でも、最も重要な要素といわれているのが「遅行スパン」です。当日の終値を26日前に、つまりチャートの左側に遅行させて表示します。当日の価格と26日前の価格を比較することになるため、遅行線がローソク足よりも上に表示されていれば上昇が強い相場、下に表示されていれば下落が強い相場と判断できます。

一目均衡表の使い方と注意点

実際の取引で一目均衡表を使いこなすためにはどのような点を押さえておくとよいのでしょうか。ここでは一目均衡表の使い方や注意点を解説します。

一目均衡表の3大理論

一目均衡表は、「時間論」「波動論」「水準論」の3つの理論を基につくられています。時間に着目したのが時間論、価格に着目したのが波動論と水準論です。

上昇するチャート

時間論

一目均衡表を分析するうえで基礎的かつ重要な視点といわれるのが時間論です。時間論を活用するとトレンドの転換や相場のサイクルを予測しやすくなります。

「9」「17」「26」は基本数値と呼ばれ、基本数値を組み合わせた「33」「42」「52」「65」「76」などを複合数値と呼びます。細田氏の研究によると、9日、17日、26日といった基本数値の期間で相場が転換しやすい傾向にあるようです。基準線や転換線を算出する際の基となっていることもあり、重要な数値となっています。

波動論

波動論は、チャートの波形パターンから相場を分析する方法です。チャートの波形には主に、次の3つの形があります。

I波動 安値から高値に上昇する動きのみ、高値から安値に下落する動きのみ
V波動 価格が上昇した後下落する、または価格が下落した後上昇する
N波動 価格が上昇した後下落し、再度上昇する、または価格が下落した後上昇し、再度下落する

一般的には、I波動とV波動が繰り返され、最終的にはN波動になるとされています。

水準論

水準論は「値幅推測論」ともいわれ、上値と下値から次の天井と底を推測する方法です。つまり、それまでの価格の動きから今後どの程度まで上昇または下落するのかを分析します。

「E計算値」「V計算値」「N計算値」「NT計算値」の4つが代表的な計算方法です。価格が上昇(第1波)し、その後下落(第2波)、再度上昇(第3波)する相場においては、次のように価格を予測できます。

E計算値 第1波の値幅と比べて第3波が2倍の値幅で上昇する
V計算値 第2波の値幅と比べて第3波が2倍の値幅で上昇する
N計算値 第1波と第3波が同じ値幅で上昇する
NT計算値 第1波と第2波の差の分だけ、第3波で上昇する

一目均衡表のポイントと注意点

一目均衡表はその名の通り、トレンドの転換シグナルが「一目でわかる」指標です。トレンド転換のシグナルで代表的なものには、以下の3つの条件が揃った「三役好転」と呼ばれるパターンがあります。

  • 転換線が基準線を上抜く
  • 遅行スパンがローソク足の上限を上抜く
  • ローソク足が雲の上限を上抜く

三役好転は強い買いシグナルを表しています。

反対に、以下の3つの条件が揃ったときには「三役逆転」と呼ばれ、強い売りのシグナルです。

  • 転換線が基準線を下抜く
  • 遅行スパンがローソク足の下限を下抜く
  • ローソク足が雲の下限を下抜く

ただし、雲の中に価格があるときには注意が必要です。雲が厚いほど、雲を上限、下限として価格変動し、しかもトレンドが形成されず、相場の方向が定まらない「レンジ相場(ボックス相場)」を形成しやすくなります。反対に雲が薄いところをローソク足が抜けた場合には、トレンドの変わり目といえるでしょう。

雲がねじれている場合もレンジ相場になりやすい傾向があるため、状況に合わせた投資戦略を立てることが大切です。

虫眼鏡で拡大するチャート

一目均衡表は見方を理解できれば初心者でも活用できる指標

一目均衡表は、トレンドだけではなく、売買のタイミングを見極める手がかりにもできるテクニカル指標です。一見、複雑に見えますが、各補助線や雲、ローソク足の位置関係を把握できれば、初心者であっても実際のトレードに活用できます。見慣れて傾向を観察しましょう。

ただし、テクニカル指標には「だまし」がつきものです。売買サインを示した後に思惑と異なる方向に価格が推移する可能性もあります。一目均衡表だけではなく、MACD(マックディー)やボリンジャーバンドなど、ほかの指標も組み合わせて使うことで、より正確な相場分析ができるようになるでしょう。

<監修者>

木村佳子

<プロフィール>

一級FP技能士(国家資格)。NPO法人 日本FP協会上級資格CFP。IFTA国際テクニカルアナリスト連盟最上位資格MFTA®の日本で最初の女性取得者。早稲田大学大学院ファイナンス研究科専門職MBAファイナンス修士。日本ベンチャー学会。日本IR学会。生活経済学会。消費者行動学会正会員。YouTube 「木村佳子チャンネル」で資産運用情報を発信中。

まだFX口座をお持ちでない方は、
インターネットで今すぐお申込み!

リスクおよび手数料などについて