FXのpips(ピップス)とは?使い方と注意点について解説!

2022/7/22

FXについて調べているとよく目にする単語「pips」。しかし、pipsとはどのような意味なのかよく分からない、どう使うのかイメージしづらいという方は多いのではないでしょうか。

本記事では、pipsが表す言葉の意味や、pipsを使った損益の計算方法について解説します。pipsの使い方を覚えれば、よりFXに対する知識が深まるでしょう。

そもそもFXとは?という方はこちらをご覧ください

FXのpips(ピップス)とは

これからFXを始めようと考えている方は「pips」と聞いてもピンとこないかもしれません。ここではpipsの定義や使い方を解説します。

pipは「percentage in point」の略称で、通貨ペアの値幅を表す共通単位

pipsとは、FXにおいてドル/円やユーロ/ポンドなど、通貨ペアの価格の変動幅を表す最小単位のことです。「percentage in point」の頭文字をとったpip(ピップ)の複数形がpipsで、読み方は「ピップス」です。

FXではドルやユーロなど単位の異なる通貨を取引します。たとえばドル/円やユーロ/ポンドの価格が変動した際、「1ドル動いた」「1ユーロ動いた」といったように、それぞれの通貨で値幅を表すと、何に対してどのくらい変動したのかがわかりにくくなってしまいます。そのため、どのくらい価格が変動しているのかを比較するために、各通貨ペアに共通の単位としてpipsが使われているのです。

pipsの定義は取引する通貨ペアやFX会社によって異なります。米ドル/円、ユーロ/円、ポンド/円などの対円通貨ペアの場合は、0.01円(1銭)=1pipsと決められていることが一般的です。たとえばドル/円のレートが「1ドル=127.156円」のときには、小数第2位の部分が1pipsに当たります。そのため、「1ドル=127.156円」のタイミングで買いポジションを保有したあと「1ドル=127.196円」になったときに決済をすると、4pips、つまり0.04円(4銭)の利益を獲得したことになります。

  • ポジションとは、新規で「買い」または「売り」の注文をしたあと、決済せずに保有している状態のことを指します。

一方、ユーロ/ドルやポンド/ドルのような、円を含まない通貨ペア(「ドルストレート」と呼ばれる)では、0.0001(各国の通貨単位)=1pipsとされているのが一般的です。たとえばユーロ/ドルが「1ユーロ=1.0789ドル」のときには、小数第4位の部分が1pipsに当たります。つまり、「1ユーロ=1.0789ドル」のタイミングで買いポジションを保有したあと「1ユーロ=1.0782ドル」のときに決済すると、7pips、つまり0.0007ドルの損失が発生したことになります。

チャートと価格表

pipsの使い方

pipsはスプレッドの単位としても使われます。スプレッドとは、買値と売値の差のことであり、実質的な取引コストです。たとえばドル/円のスプレッドが1pipsとなっている場合には、1ドル当たり1銭のコストがかかることを表しています。

pipsはトレード結果を表現する際にも用いられています。たとえばドル/円が「1ドル=125.50円」のときに買いポジションを保有して「1ドル=126.00円」になったとき決済をすると、0.5円つまり「50pips獲得した」と表現します。投資効率を計るために「いくらの利益を得たのか」ではなく、「どのくらいの値幅を稼いだのか」を重視する投資家もいるようです。

pipsを使った損益の計算方法

pipsを用いると損益や投資効率を算出できるため、取引のさまざまな場面で役立ちます。ここでは、具体的な計算方法や注意点を解説します。

pipsを用いて簡単に損益の計算を行うことができる

pipsを使うことで、損益を算出することができます。損益は「獲得したpips(値幅)× 取引数量」で求められます。

たとえば1pips=0.01円(1銭)のFX会社で1,000通貨を取引するケースでは、1,000pipsを獲得すると、

1,000pips(1,000×0.01円=10円)×1,000通貨=1万円

の利益を得ます。1万通貨を取引した場合には、

1,000pips(1,000×0.01円=10円)×1万通貨=10万円

の利益となります。つまり、取引数量が多くなるほど、同じ値幅(pips)でも獲得できる利益は大きくなるのです。

投資効率の算出

pipsを使うことにより、トレードの調子の良し悪しの判断や、投資効率の比較ができます。
たとえば、1pips=0.01円のFX会社において、ドル/円が1ドル=120円のときにドルを買ったケースを考えてみましょう。

  • Aさんは1万ドルを購入し、120.50円のときに売った
  • Bさんは5万ドル購入し、120.10円のときに売った

このようなケースでは、利益は以下の通りです。

  • Aさんの利益は(120.50円-120円)×1万ドル=5,000円
  • Bさんの利益は(120.10円-120円)×5万ドル=5,000円

利益は同じ金額となっているため、投資効率は両者とも同じようにみえます。
しかし、獲得した利幅には以下のように差が生じています。

  • Aさんは0.5円÷0.01円=50pips
  • Bさんは0.1円÷0.01円=10pips

AさんがBさんと同じ5万ドルを購入していた場合、5万ドル×50pips(0.5円)=2万5,000円の利益を獲得できていたことになるのです。つまり、AさんはBさんよりも効率のよい取引をしていたといえます。

FXではこのように、利幅、すなわち「獲得pips」を確認したほうが取引結果の良し悪しを正確に判断できることがあります。

電卓とお金

pipsの注意点

pipsは取引のさまざまな場面で役立ちますが、損切りの目安にpipsを用いるのはおすすめしません。というのも、取引数量によって実際の損益は大きく変わってしまうため、pipsだけに着目すると、許容できる損失額を大きく超えてしまう可能性があるからです。

たとえば、1pips=0.01円のときに損切り幅を100pipsに設定した場合、1,000通貨を取引すると、損失が100pips(1円)×1,000通貨=1,000円に達したときに損切りを実行します。1万通貨の場合は、100pips(1円)×1万通貨=1万円です。つまり、同じ損切り幅を設定していたとしても、取引数量によって損失額は変わってきます。あくまで損切り額については、「投資資金に対して許容できる損失額」で設定することがおすすめです。

  • 損切りとは、自分の予想と反対方向に相場が動いたときに、決済して損失を確定させることを指します。

実際の取引を通じてpipsの使い方に慣れていこう

「pips」は、FXにおいて使われる機会の多い用語の一つです。pipsの計算方法を理解することにより、異なる通貨ペアでも値幅を比較しやすくなります。取引の結果を振り返る際にも効果的です。

実際のチャートを見ながら損益や投資効率の計算してみながら、pipsに慣れていきましょう。

<監修者>

木村佳子

<プロフィール>

一級FP技能士(国家資格)。NPO法人 日本FP協会上級資格CFP。IFTA国際テクニカルアナリスト連盟最上位資格MFTA®の日本で最初の女性取得者。早稲田大学大学院ファイナンス研究科専門職MBAファイナンス修士。日本ベンチャー学会。日本IR学会。生活経済学会。消費者行動学会正会員。YouTube 「木村佳子チャンネル」で資産運用情報を発信中。

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